味覚と脈拍

昨日はICUで歴史系の研究者の特別講演を拝聴。ヨーク大学のマーク・ジェナー氏。Sir John Floyerという17世紀末〜18世紀北イングランドの田舎医者だった人物だが、非常に研究熱心で、中国の脈拍についての医学を自分の研究に取り入れたり、あと圧巻なのが、口に入るものならば何でもとりあえず味見してその味をひたすら分類し、薬草探しに生涯を捧げたという(ヒ素を口に含んで死にそうになったり……)。当時のアジア蔑視にとらわれずに中国医療に先進性を観る一方で、彼の薬草探しは「イギリスの病気はイギリスの薬草が一番だ!」というややナショナリスト的な信念に駆られていたり、なんというか、矛盾の多い、非常にエキセントリックな人物で、歴史研究におけるエキセントリシティの扱いについて考えさせられた(実際、そういう質問も出ていたし)。講演全体としては、ここしばらく盛り上がっている「感覚の歴史」に批判的な介入を試みるというもので、この研究分野の現状のマッピングとしても参考になった。


しかし、この季節のICUのキャンパスは本当に桜並木が綺麗です。