ロスジェネ

A Portrait of the Artist as a Young Man (Penguin Classics)

A Portrait of the Artist as a Young Man (Penguin Classics)


若い芸術家の肖像 (岩波文庫)

若い芸術家の肖像 (岩波文庫)


2007年に出た新訳でひさびさに読み返す。あまり詳しく対比はしていないが、丸谷訳(1986年)に比べてすこし柔らかくなっているようにも思える。第三章の説教の場面とか、第五章の美学談義の部分とか、この小説にはあいもかわらず難解でわかりにくいところもあるが、以前よりもはるかに皮肉な対照の部分に注意が向きやすい。そのまんま「若者」についての物語なので、読者の年齢によって気がつくところと気がつかないところがあるのか。いや、たんにこっちが年をとったということかもしれないが。ちなみに、この翻訳の最後の場面をひとつめくると、「ジョイスの墓を訪れる晩年のパウンド」というレアな写真が収められている。ミルトン・ヘルベルト作のおどけたポーズのジョイス像に迎えられる沈鬱な面持ちのパウンド、という趣向。


ジョイスを読む ―二十世紀最大の言葉の魔術師 (集英社新書)

ジョイスを読む ―二十世紀最大の言葉の魔術師 (集英社新書)


同時にこれを。これも写真が豊富なのがいい。『ユリシーズ』とか、地図だけじゃなくて、ダブリンの街角の写真入りの版を出したら売れるのでは?*1


もういっちょ。


ロスト・ジェネレーション―異郷からの帰還

ロスト・ジェネレーション―異郷からの帰還


書店で見かけた本。原書は「亡命者たちの帰還」なわけだが、邦訳タイトルは『ロスト・ジェネレーション』になったようだ。ちょうど読みたいと思っていたところだったわけなのだが、いいタイミングだし、翻訳を買おうかな。

*1:と、いうこれは思いつきでいい加減なことを言っているにすぎないが、もしかしてこういうことを実際に考えていそうな人に心当たりがあることに、ふと気が付いてしまった……なるほど。いや、だが、どうだろう。