鰤とポップ

LIVE FOREVER [DVD]

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90年代半ばのいわゆる "BritPop" と政治のかかわりについてのドキュメンタリー。「60年代の再来」みたいな当時の盛り上がり感と、「祭りの後」の後悔とも諦念ともつかない居心地の悪い半端な感じがよく伝わってくる。特に、メディアが煽ったOasisとの対決の渦中で、「労働者階級」の彼らに対する「中産階級」出身のBlur、というレッテルを貼られてしまった当時を、ウクレレを弾きながらシニカルに、だが苦々しく振り返るDamon Albarnは見ていて、なんだかとても可哀そうな気がしてきてしまった。いまだにずいぶん「強がり」なGallagherに比べるとずいぶん屈折しているような印象を受けるが、これもまたひとつの正直さのかたちなのではないか、いや、だが「弱さ」のナルシシズムなのか、とかなんとか。


冒頭では英国を埋め尽くすアメリカン・カルチャーへの対抗意識がずいぶん言葉を尽くして語られており、やっぱりこの島国とアメリカとの関係は根が深い分、かなりアンビヴァレントなのだろうと思った。そういう意味ではナショナリズムの発露だったのだ、と。その割には、_Vanity Fair_が "Cool Britannia" と題して特集を組んだら、みんななんだかんだで出たいのさ、みたいに編集者に語られてしまうところもまた、べつの意味で苦い。


しかし、始めから終わりまでずっとベットに寝っこりがりながら語るDamien Hirstはみょうに感じが悪いが、ああいう作品を作るアーティストだけに、やっぱりこういう芸風の持ち主なのだろう。