賞ほど素敵な商売は無いか?

そういえば一昨日だったか、新しい「大江健三郎賞」の発表が新聞に載っていたのが目を引いた。この賞の規定はちょっと風変わりで、普通あるはずの賞金が無くて、その代わり「英・独・仏語どれかへの翻訳出版」がオプションでつくのだそうだ。ある意味で純化された文化的価値の承認に、世界市場の開拓に向けた「日本文学」の野心がくっついているようで、こういうのを「世界文学空間」出現の兆候とでも呼ぶのかもしれないね。講談社(だと思う)によるこの賞の規定には、「ノーベル賞作家である大江健三郎氏」と書いてある。つまり、この賞の「国際的な文学的価値」の承認能力は、ノーベル賞という別の賞の権威に依存している、ということになるわけだが。もちろん批判しているわけではなくて、こういうのは現象として興味深い。