人文学教育推進

某所でイェール大学からの来賓達による「人文学教育推進のためのセミナー」というのを見に行く。アメリカではリベラル・エデュケーションがとても重視されており、四年生大学での教育を職業訓練に直結させる学生はきわめて少ない、なので、人文的教養の人気も高く、需要も大きいらしい。さらに、教師の研究・教育を支援する図書館のデジタル化プログラムの話、映像研究とその背景としてのコンテンツ産業台頭の話、莫大な奨学金資金を確保する潤沢な寄付金の話などなど。アメリカのエリート大学がいかに恵まれているかばかりが印象に残ってしまうが、よく考えると、自分たちももっとアピールできるように頑張らないとね、というのが教訓か。


とりあえず司会の先生(実はわが師なのだが)の的確な(?)つっこみが面白かった。


ハード・アカデミズムの時代

ハード・アカデミズムの時代


後日談になるけど、このとき代表でコメンテーターの役割を務めた西洋史の先生には上記のような著書があって、先日蔵書整理をしてたら見つかった。初版なので出たときに読んだのだろう。表紙をめくるとすぐ「2020年の日本」と題して、未来の大学についてかなりダークなビジョンが提示されている。今年から数えるとあと13年しかないから、これをもう「未来」と言えるかどうかは微妙。読んだときはかなり暗澹としつつも、ああ、頑張らんと、と妙な追い立てられ方をした覚えがある。未読ならお勧め。特に英語関係の研究者ならば、確実に暗い気持ちになれる。