知のグローバリゼーション

たいそうなタイトルをつけてみたが、内容的には「日頃の素朴な疑問」コーナー。


最近の出版物にはどれもついてますよね、ISBNってやつが。よーく考えるとこれ、洋書でも和書でも区別なくみんなついてる。なんの略号なのかと思ったら、International Standard Book Number国際標準図書番号)。ウィキペディアによると、この番号は世界共通で図書(その他、CD−ROMやマイクロフィルムを含むメディア・プロダクツ)を特定するためにつけられているそうだ。でも、勿論ずっと昔からある訳ではない。もとになったのは1966年に英国で導入されたSBNという番号規格、それが1970年に国際標準化機構(ISO)に採用された。日本には「日本図書コード」として1981年から徐々に導入され、正式な工業規格になったのは1988年だとか。つまり、この番号にはたかだか3,40年ぐらいの歴史しかないわけだ。


ここから生まれる疑問がいくつかある。まず、戦後のこの時期にになってなんで英国発祥の規格が国際標準に採用されたのか。これを考えてゆくと、国際舞台でのイギリス出版産業の相対的な比重について何か言えるかもしれない。原理的には、アメリカだって、フランスだって、ドイツだって良かったわけだし。


もう一点。このような書籍の国際一括管理システムが確立されたのが比較的最近のことだとすると、それ以前やそれ以後で国際書籍取引にどのような変化が生まれているのだろうか。つまり、国際的な書籍流通にどのような改善がもたらされたのか。もしこの標準図書番号の導入が書籍貿易の簡素化を目的としていたとすれば、たとえば、1960年代以降に国際的な書籍の流通量が格段に増加しており、また、ISBNの導入がそのような増加傾向を一層加速させた、というふうなことが言えるのだろうか。


これは全部が空理空論にすぎないわけなのだけど、じつはこんなふうな話をまとめたエッセイはすでにどこかで出ているのかもしれないですね。というわけで、「ISBNの歴史(もしくは起源)」というような記事、論文、もしくは研究書が出ているのを見つけたら誰かご一報を。日本語でも、英語でもOKです(とまあ、結局は人任せなんだけど)。