年末年始の美術探訪②兵庫県立美術館「芸術の館」

  


 兵庫県立美術館、別名「芸術の館」。訪れたのは1月2日。平成11年に着工して13年に竣工している。設計は安藤忠雄。JR灘駅からは歩いて7〜8分ぐらいか。運河みたいなエリアのすぐ脇に立っている、きわめて立体的な造型で、複合的な階段やスロープの部分が印象的。


 三が日に訪れた僕が悪いのだが、常設展のみで企画展部分は閉鎖中、レストランやショップさえ開いていなかったので、内部で見れたのは一部分のみ。コレクション展では、菅井汲の作品が集中的に見られたが、僕にとってはまだよくわからない画家である。二階部分では郷土ゆかりの小磯良平と金山平三の洋画にそれぞれ一室ずつスペースが割かれており、前者はまだまだバタ臭いが、後者のスタイルは日本の景観によく馴染ませてある。ただ、流石の小磯も、そのバタ臭さという点では本多錦吉郎の『羽衣天女』には敵わない(笑)。


 よく知らない芸術家のなかでは、新宮晋というアーティストの『雲』(1984)という作品が印象深い。スチールと不織布から出来た立体作品なのだが、中心部分が天井から吊るされてモーターで回転するように出来ており、そこから放射状に伸びる羽根が風に吹きすさぶ千切れ雲のように複雑な動きを見せてくれる。清涼感がある。「風」をテーマにして空港やブランド建築のオブジェなど手がけている人らしいが。