サイード自身によるサイード

 

サイード自身が語るサイード

サイード自身が語るサイード

 ありがとうございました。とても嬉しいです。 短いので昨晩一気に読んだが、内容はとても豊富(行き届いた訳注や巻末の年譜など、読者へのサーヴィス精神が良い)。古い友人のタリク・アリとの親密な会話である点を考慮してサイードの発言の訳文もとてもくだけたものになっている。サイードといえば勿論、コスモポリタンな教養人と公的な知識人、その両方を極限まで体現したような真に「偉大」な存在だったのだが、この対談から伝わってくる印象はちょっとお茶目で、とても人間的で、近づきやすそう。最良のサイード入門書。


 思いつきでちょっと補足してみると、サイード自身の告白によれば、政治参加以前(60年代前半)の彼は「ドリアン・グレイ」であり、その後は完全な「ダンディ」になったということになる。そこまで言い切れる男はなかなかいない。たしかにサイードはカッコよかった。