意識混濁
Modern Classics Voyage in the Dark (Penguin Modern Classics)
- 作者: Jean Rhys,Carole Angier
- 出版社/メーカー: Penguin Classic
- 発売日: 2000/08/29
- メディア: ペーパーバック
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読了。GMMに比べると途中まではあっけないほど単純でややセンチメンタルなきらいすらあるけど、最後のほうになってからやっぱり独特の迫力をかもし出すのは、Rhysがこの時点までには「意識の流れ」を完全にマスターしていて、特に彼女の場合、その手法で「混濁した意識」を描きだすのがとても巧みだということにもよるのだが、それよりなによりこれはRhys自身が意識の混濁について経験のレベルで徹底的に味わいつくしているからなのだろうな、とふと思った。ずいぶんお酒も好きだったらしい。
そういえばこの時代よりちょっと前の女性作家の小説作品を読んでいて、主人公が酩酊している、なんていう描写はあまり見かけないかもしれないがどうだろう(例えばWoolfとかにそういうキャラクターはあったかな)……お酒飲みの女性像? いわゆるステレオタイプ的な「堕落」の表象とはまた別にして。ジェンダー観の歴史的変化について何か言えるか。
いや、それ以前に酩酊する主人公って男でも女でもそもそもそんなに多くないか、いやどうだろう。最近クラスで以下を精読しているんだけど、この小説の主人公はそもそも酒嫌いの一方で(それでいて豪奢なパーティを開きまくる)、語り手は真面目そうな印象を与えるわりにはよく酩酊していて、そのあたりの語り口の変化なんかも(第二章の終りあたり)ちょっと面白い。
- 作者: F. Scott Fitzgerald
- 出版社/メーカー: Scribner
- 発売日: 2004/09/30
- メディア: ペーパーバック
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