タテのものをヨコにする

 いまどきの若者たちは何を読んだり観たりしているのか気になって、今日たまたま聞いてみていたら、「携帯小説を読んでます」という答えが返ってきて、まあ、ここまでは想定の範囲内。だが、この後、「どんなところが面白い?」と訊ねたら、「ヨコ書きなので親しみやすい。タテ書きのものは厳めしくて読みにくい」というお答え。ちょっとビックリしてしまいそうになったが、まあ、よく考えたらメールだってウェブだってヨコ書きだよね。大学の授業の課題レポートだってヨコ書きが普通だろうし、あの年代の若い子たちにはタテ書きは馴染みの無いものなのかもしれない。しかし、「読みにくい、か…」。目の運動方向まで馴らされているのかな。


 いっそのこと、「ヨコ書き版古典文庫」とか、「ヨコ書き新書」とかを創刊してみるとどうだろう。日本国民の教養の向上に一役買う、か?タテ書きでなければならない原理的な理由は果たしてあるのだろうか。そういえば自分でも、ここしばらくずっとタテ書きで文章を作成していないな、アカデミズムはヨコ書きの世界だったか、とふと気がつく(活字になる際にタテ書きを想定するケースはあるけど)。うーん。


 「日本におけるヨコ書きの導入・浸透について」という歴史的考察はないだろうか。メディア環境とか、学術翻訳とかの問題もからむやつ(たとえば、英文も混ざる学術系の本は入門書でもほとんどがヨコ書きを採用している)。あと、「ヨコ書き小説の歴史」とか?そういえば、だいぶ以前に文芸誌でヨコ書き小説がひとつあったな、名前が思い出せない…。SF?