精霊の

精霊の守り人 (新潮文庫)

精霊の守り人 (新潮文庫)


普段あんまりファンタジーは読まない人なんですが、話題のものが文庫本になっているのを見つけたので購入。昨晩、なぜかうまく寝付けなかったので手に取り、そのまま読了。うん、面白い。よく書けている。国家に取り込まれて伝承が歪められて遺されてしまう、というのはどこぞの国にもありそう。個人的に最も巧みだと思ったのは、〈サグ〉と〈ナユグ〉が微妙にズレながら重ねあわされている世界観の中で、後者はとりあえず霊妙なる「精霊の国」という設定になっているのに、ずいぶん生々しい動物的/怪物的なものを孕んだものとして描写されているところか。じっさい、人間の少年に卵を産みつける水の精霊といい、卵を喰らいに来る土の精霊の牙や触手の描写といい、じつに気持ち悪く書けていて、そこがまた良い。


“ポストモダン”とは何だったのか―1983‐2007 (PHP新書)

“ポストモダン”とは何だったのか―1983‐2007 (PHP新書)


先日御茶ノ水に行った時の帰りに、駅前の丸善で同時に購入したもの。どうも味気ない事務仕事の後では書籍の購買意欲が増進されるらしい。さっと流し読み。論調としては、昨年11月の仲正昌樹の批判的な議論と対になっているような感じか。いさましい。