動物的な生

Life of Pi: Student Edition

Life of Pi: Student Edition


 ひさびさに、「ページをめくる手が止まらない」といったような小説だ。「現代小説における動物」というテーマについて夢想しながら読む(ここからこの段落少しネタバレ注意)。最後の場面でくるっと逆転しているかのようにも読め、少しがっかりしかっかったのだが、よく考え直すと、fact/fictionをきれいに切り分けるような読解は作者の望むところではないに違いない。つまり、「動物が居ないほうが良いのか?」というのは、一読して分かるよりもずっと深刻な問いなのである。


 それはともかく、この作者とユーモアの趣味がぴったり合う。やや変なのかもしれないが。特に、インドからアメリカに動物たちを輸送する準備をしている際に主人公のいる動物園を訪れるアメリカ人の検疫官たちの描写が最高に面白く、わらいころげてしまった。しかし、我が事ながら、ストレスが溜まっているのか?