出版史/インキュナブラ
うーむ、体調が良くない。いったん体調が悪化するとすべてにおいてやる気がなくなってしまう…書く気も含めて。
- 作者: 清水一嘉
- 出版社/メーカー: 日本エディタースクール出版部
- 発売日: 1994/10
- メディア: 単行本
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決して派手ではない。だが、時流にも流されない。地道に手堅く、基本情報を押さえ、10年後に読まれても大事な部分では古びていない著作。(もしもありうるとしたら)そういうものに憧れる部分を私は多少なりとも持っている。のだ、が。それを評価するこちら側も十分時流を意識した上でないと、こういうことは言えないな、やっぱり。このテーマについて日本語で読める良質の入門書。
やや話は飛んでしまうが、国立国会図書館のサイトでインキュナブラ(1500年以前に西洋で印刷された書物)に関する簡単な説明がなされているのを発見。国会図書館は15冊のインキュナブラを所蔵しているらしい。1葉のみのものやファクシミリなども含めれば400点ほどもある、とのこと。なかなか面白そうだ。ちなみに、日本でグーテンベルクの『42行聖書』を所蔵しているのはどこだっけ?と調べたらやっぱり慶応義塾の図書館でした。
http://www.ndl.go.jp/incunabula/index.html インキュナブラat国立国会図書館
http://www.keio.ac.jp/staind/230.htm 慶応義塾を読むon『42行聖書』
ところで稀覯書のことを調べると、最近ではすぐにデジタル・アーカイブの話に飛ぶ。最古のものと最新のもの、奇妙な出会い。
http://www.libro-koseisha.co.jp/cgi-bin/libro/cruiser/cruiser1.cgi 貴重本検索エンジン
http://www.hozon.co.jp/hobo/hobo_top.htm 「ほぼ日刊資料保存ニュース」
この後者のサイトでは2006年12月14日のエントリー「アイオワ大学図書館の『歴史的製本のモデル・コレクション』、1世紀から現在までのひな形をウェッブで」が面白い。古代の巻紙式の本からコーデックスの発明による製本の進歩が線形的な読書を可能にする条件である、というのはロジェ・シャルチエ(Roger Chartier)の大事な論点だったかな、そういえば。
http://slis.uiowa.edu:16080/~tatum/books/index.html
あと一点だけ追加。慶応のHUMIプロジェクトのホームページでは、ウィリアム・キャクストンが印刷・出版した『カンタベリー物語』第一版、第二版の画像も見ることが出来る。なんて便利なんだ…。特に「慶應義塾図書館稀覯書画像」の部分を参照すべし。