私の中のあなた

私の中のあなた [DVD]

私の中のあなた [DVD]

原題は_My Sister's Keeper_、よく売れた小説らしい(原作とは結末が真逆とか)。『私を離さないで』の物語を、移植を待つ者の側から語ってみるとこういう感じになるだろうか、と思った。


昼間は勤め先の講演会で、『ジェイン・エア』の映像版を5ヴァージョンくらい立て続けに見せられる。もちろんバーサに注目するのだが、ジェイン俳優のイメージの変遷もあんがい面白い。

ゴシック・オースティン

なぜか某作家協会のシンポを拝聴。ウルストンクラフトとの結びつきを探る、というお題でとても勉強になった。ゴドウィンの書いた伝記がはた迷惑なゴシップものだった、という話だが、無政府主義者としてはありのままを伝えたかったのかなあ、などと想像。発表ではゴシックものと歴史ものが特に興味深かった。通説ではゴシックをパロディしているともっぱら評判のオースティンだが、女性ゴシックの伝統を踏まえると、そうとも言えず、当時の家庭に囲い込まれた女性の苦難/受難を描くオースティンが見えてくる、と。ウルストンクラフトの小説面白そうですね。オースティンの読んだ本をつぶさにたどる歴史家の努力には頭が下がる。『オースティンとお嬢様ヒロイン』という本がいいらしいと教えられる。

パルトロウ

Emma/エマ [DVD]

Emma/エマ [DVD]

Emma (Norton Critical Editions)

Emma (Norton Critical Editions)

小説版よりも映画版のほうがエマの行動がいらだたしく感じるのは、小説はなんだかんだでエマの視点によりそっているので(もちろん皮肉を込めつつ)、誤解の経緯を追体験できるからなんじゃないか。映画で見てしまうとエマの過ちはあまりに明白だし、やや階級意識が鼻につく。なお、遠景が少ないのであまり「美しい田園」といった感じの映像はなし。途中のテンポを演出する工夫は面白い。

蝶々さん

M. Butterfly: With an Afterword by the Playwright

M. Butterfly: With an Afterword by the Playwright

読了。京劇俳優のソン・リリンがフランス人外交官のオリエンタリズムにつけいる、という話。1960年代中国共産党政権の表象として読む、といった読み方はあまりされていなさそうだが。

長崎

忘れえぬ慕情』(1956年松竹) DVDでは出てないのか? 台風の演出など、かなり手の込んだ良作だと思うがストーリーは一考の余地あり。若き日の岸恵子が出ており、流ちょうなフランス語。文楽を見せたり、地震があったり、宮島に行ったり、台風が来たりと、観光映画のようなおもむきだが、一瞬だけ爆心地を訪ねたりもしている(が、軽く流されてしまう)。当時の日本のキャバレーのシーンあり。体操をしているかのよう。