監督がバットマンのノーランだと知って、ひねった展開も納得。身体刺激が夢に反映されるのはよくわかるが、精神分析理論の具体例としては使えるか? どうだろう。

モダナイザー

クィーン [DVD]

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夕食をとりながら軽く。王室映画と見てもいいんだろうが、どちらかというとブレアの宣伝術の内幕暴露ものといった感も。モダナイザー連呼してるし。しかし、なぜこの映画のブレアは女王に感傷的な愛着を覚えるのか。内なる保守性? シカのエピソードは一昨年のA文学会で話されていましたね、そういえば。

上海とモロッコ

上海特急 [DVD]

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モロッコ [DVD] FRT-083

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タンバーグ&ディードリヒのコンビを2作。30年代初頭のハリウッドは異国情緒まるだし。マレーネ・ディードリヒの美貌で評判のいい映画のようだがストーリーはどちらも正直それほどでも(というのは野暮なのか)。上海のほうは反乱軍の(なぜか性に飢えた)指導者がハーフという設定。後者のゲイリー・クーパーはなぜそれほどもてるのかよくわからないのが謎。ディードリヒの役どころはどちらもクールに見えて絶望的な恋心に駆られた女、というキャラで、当時はそういう女性像が流行っていたのか。後者の最後の場面は、男性向けのファンタジーか。場末のキャバレーとメトロポリスのキャバレーとでは、やや違う?

A文学会

2日目に参加(前日は参加できず、本当に残念だったが)。最初はフォードと回避の戦略。緻密な読みのおかげで小説のディテールをいろいろと思い出す。二つ目は靴墨と煙突の話。ゴッホディケンズの愛読者だったらしい。三つ目は戦間期の多産性について。このころの出生率を知ることはできるか? 四つ目はマルカム・ラウリーの『ウルトラマリン』について手際の冴える読み。とりあえず素材がとても面白そうなので、これはぜひ読んでみよう。午後は他学会乗り入れの現状認識と今後の課題について。とりあえず問題意識のシェアということか。特別公演は詩の意味と音声について非常にクリアな説明を受けつつ同時にイギリス現代詩への最良の入門になっていたので、これから新読者が増えるか(だが、題材になったプリンの詩集は日本では入手困難なのではないか?)。


夜は講演者を囲んでの食事会。お疲れ様でした。

上海映画

上海の伯爵夫人 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

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国際政治の世界のミニチュア版としてのナイトクラブ。だがそれはすでに歪んだノスタルジアの対象でしかなくて。最終的に上海から脱出する海のうえの「難民」たちの姿に真の「世界」が再出現する、とまあ、そういうことなのだろう。「伯爵夫人」の夫の家族(亡命ロシア貴族)の非情さがコワい、のは、「亡命ロシア人」形象としては興味深い。なお、主演の女優はヴァネッサ・レッドグレイヴトニー・リチャードソンの娘だとか。

能楽堂

なにかこう、渋谷あたりに能楽堂があるということをあまり意識したことがなかったのだが、あるんですね(もちろん、伝統芸能への理解の浅いわたしの問題だけど)。月末に海外からのお客さんを連れてゆくために予約。セルリアンタワー能楽堂

エディット

エディット・ピアフ 愛の讃歌 [Blu-ray]

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戦間期から60年代までの伝記映画。ベルヴィルの貧民街の芸人の家系からナイトクラブを経て、フランスを代表する国際的歌手まで。階級上昇譚のようでもあるが、貧しい育ちが最後までピアフを苦しめていたようにも描かれている(背の高い女優マリオン・コティヤールは身長140ほどのピアフを演じるために猫背で通したそうだが、実際もそうだったのか?)。50前ぐらいなのに老い方が普通でないのは薬物とアルコールのせいか。マリー・ロイドがもう少し後の時代に生まれていたらラジオ/レコードのメディアに乗ってこんな感じの生涯を送っただろうか、などと想像(国が違うけど)。マレーネ・ディードリヒが一瞬だけ登場する。